人を賢くサポートする機械や製品のための人間身体モデリング

研究背景
人の運動評価を行うにあたって,センサを使うことで外力や位置の情報を取得することができますが,人はセンサで計測した値そのものを感じているわけではありません. 感覚器や脳の働きにより,主観的に感じる負担感はセンサ値とは大きく異なります. 人間の感性を考慮した製品作りを行うためには,人間の運動・知覚特性のモデル化が重要であり,それができれば機械や製品の設計段階で人間の感覚を予測することも可能となるでしょう.
近年コンピュータの内部に人の身体モデルを構築することで,シミュレーションにより運動時に人の体の中で何が起こっているかを推定できるようになりました. 我々は身体モデリング技術を応用することで,人を賢くサポートする機械の開発や,より使いやすい製品設計につなげるための技術を研究しています.

研究内容概要
筋肉はアクチュエータであると同時にセンサでもあり,力や重さ感を得る上で重要な役割を担っています. さらに筋肉には,信号強度依存ノイズと呼ばれるゆらぎが存在することが知られています. これらの解剖学的・生理学的な性質を踏まえた身体モデリングにより,人が主観的に感じる運動に対する負担感/重さ感覚の推定や,ある運動におけるゆらぎの評価などが可能になります. 我々はこれらのモデリングを通じて,人の運動ゆらぎの影響の評価,製品の最適設計,主観的な重さ感覚の推定などに取り組んでいます.

muscle door steer

代表的な特許・論文

  1. 人体運動評価装置、方法、およびプログラム, 栗田雄一,辻敏夫,櫻田浩平, 特願2012-267838 Filed on 2012.12.7
  2. 佐藤純平, 竹村和紘, 山田直樹, 岸篤秀, 西川一男, 農沢隆秀, 辻敏夫, 栗田雄一, 筋力推定に基づくステアリング操作時の力知覚特性に関する考察, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2013 講演論文集,1P1-N02(1)-(3),2013
  3. 櫻田浩平,佐藤純平,辻敏夫,栗田雄一, 筋骨格モデルと終点誤差を考慮した運動評価, 第45回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp. 154-155,2012
  4. 竹村和紘, 山田直樹, 岸篤秀, 農沢隆秀, 田中良幸, 栗田雄一, 辻敏夫, 人間の主観的な力知覚モデルの提案とステアリング操作系への応用, 日本機械学会論文集, Vol. 78, No. 795, spp. 64-73, 2012