Study on the Efficacy of Omnidirectional Images for a Laparoscopic Surgery
(腹腔鏡手術における全天球画像の有効性に関する研究 )

笠原 拓也(2017年3月博士前期課程修了)

患者にやさしい治療として腹腔鏡手術が広く普及している.腹腔鏡手術は体を大きく切る開腹手術に比べて,手術の傷が小さく美容的に優れている,術後の疼痛が軽減され,術後の回復が早いといった利点があり, 低侵襲手術として注目を集めている.しかし腹腔鏡手術は執刀医がモニターを見ながら手術を行うため,腹腔鏡手術は手術中に得られる視覚情報は乏しい問題がある. そこで全天球カメラとヘッドマウントディスプレイ(HMD)を組み合わせることで,広視野かつ直感的な操作で見たい位置を自由に視認可能な腹腔鏡手術支援システムの構築に取り組んだ. 本研究では,全天球カメラとHMD を用いた簡易的な腹腔鏡手術支援システムを制作し,腹腔鏡手術における全天球画像の有効性の検証を行った.病変の視認速度評価実験より,全天球カメラを用いたシステムの方が病変を探すのに要する時間が短くなり,さらに主観的不快感,負担感への悪影響が少ないことから,全天球映像は手術初めの病変を探す際に有用である可能性が示唆された.