Influence of the Contact Area Deformation at a Fingertip on Tactile Texture Evaluation
(指先接触面の変化による感性評価への影響の考察)

荒川 剛(2017年3月博士前期課程修了)

指と物体の接触状態の違いが,持ちやすさの感覚に影響している.どれくらいの印加力に対してどのような接触状態がうまれるかは,物体の表面形状や弾性率などの影響を受けるが,特に滑りを評価するための指標としては,一般に摩擦係数がよく利用される.しかし摩擦係数は,剛体同士の接触から算出された値を代表値として使われることが多く,人の指のように,骨,皮下組織,皮膚などから構成される複雑な弾性体の接触面で生成される滑り現象を推定・予測する指標としては,十分ではない.そこで,指と物体の間の接触面を画像計測することで,変形度合いを直接計測し定量指標化する手法を提案する. 本研究では,さまざまな素材特性を持つ平板に指を押し当て,平板に強制変位を加えた時に発生する指先の接触面変化を取得し,素材特性が指先変形に与える影響を評価した.そして,指先の接触面変化の指標である偏心度に着目し,偏心度と感性評価の結果の関係について考察した.これらの結果からは,偏心度は感性表現に対して素材のパラメータは異なる性質を評価できる可能性を示唆した.