運動計測に基づく身体機能とFIM値の関係の考察

松浦 詩乃(2022年3月工学部第二類卒業)

リハビリの効果判定としては日常基本動作(Activity daily living:以下,ADL)という人が自立した生活を送るために必要な能力を示す尺度が用いられている.このADL評価としては機能的自立度評価法(Functional independence measure:以下,FIM)やBarthelIndex(以下,BI),Kats Index といったものが用いられている.例えばFIM では運動項目13項目と認知項目5 項目の全18 項目を完全自立から完全介助の全7 段階で評価を行い,BI では食事や整容などの運動項目10 項目を2〜4 段階で判定を行う.しかし,これらの判定法は医師や看護師の目視による判断や質問やアンケートへの回答といった患者自身の回答によって行われるため,評価が主観的で実施者によってばらつきが生まれること,評価項目が多く時間や手間がかかり,項目によっては介助しながらの採点が必要なため実施者への負担が大きいことが問題点として挙げられる.そこで明確な基準を定め容易に実施可能な新たなリハビリ評価システムが必要である.そこで本研究では,客観的にADL の評価を行うべく,運動計測を実施後,データ解析により算出し関節角度・関節トルク・筋力といった指標とADL の評価手法であるFIM の各評価項目のスコアとの関係の考察を行った.