短下肢装具の制動力が歩行に及ぼす影響
(Effect of resistive moment of ankle foot orthosis on gait)

山本 征孝(2018年9月博士後期課程修了)

本研究では,短下肢装具(AFO)の底屈制動の変化が歩行中の身体機能や歩行能力に及ぼす影響を調査し,実際の歩行データなどから筋骨格モデルを使用したシミュレーションにより,下肢筋力への影響を明らかにした.また,得られた結果から,脳卒中患者に対する底屈制動の調整案を考案し,臨床応用の可能性について述べた. 第1章では,本研究の背景と目的について述べた後,従来研究と本研究の位置づけを明らかにしている. 第2章では,健常者を対象にAFOの底屈制動の変化が歩行の運動学的要素や時空間因子に及ぼす影響を,三次元動作解析装置と床反力系を使用して調査し,AFOの底屈制動の変化が身体や歩行機能に及ぼす影響について議論している. 第3章では,筋骨格モデルと装具モデルを使用した下肢筋力推定を行うとともに,主要下肢抗重力筋の筋力推定を行い,AFOの底屈制動の変化が下肢筋力に与える影響について議論している. 第4章では,第2,3章で得られた結果と底屈制動の間に関係性がないかを調査し,特に相関が高い項目に関して,脳卒中患者を対象とした先行研究と照合しながら議論している. 第5章では,これまで得られた健常者を対象とした結果から,AFOの底屈制動調整案を作成し,実際に脳卒中患者を対象としてAFOの選択を行い,重回帰分析の標準偏回帰係数を用いて客観的要素を含めた重みづけを行うように手法の提案と提案手法の妥当性を議論している.



(広島大学学術情報リポジトリ)